微熱

CoCo壱高くね

3/2 〜 3/3

3/2


1Kにて脱水状態で朝6時頃強制起床してしまった この日は寺田町Fireloopにて龍ヴォイ氏が実施するChoiceというイベントに出演する予定がある 龍ヴォイ氏とのファースト・コンタクトは去年の春 Chazawa Streetという下北沢の全ライブハウスを借りた狂ったイベントに呼んでもらったというところからであるのだが 俺は根っからの田舎者なので下北沢にビビり誰にも挨拶すらできず ドラムを引き連れ ゴールデンタイムの東京なのにガラガラの中華屋で背中を丸めてビールを飲んでいたため 実際面と向かって話したのは8月に下北沢のatelier?というバーに行った時だった(その日はマジで飲み過ぎて気持ち悪くなり快活で寝腐ってたら寝過ぎで5000円くらい取られて金が0になり翌日ライブの時間まで半日近く区役所で時間を潰した)

そしてそんな龍ヴォイ氏に俺を紹介したのはベスのオクダリュウヤという男で これまた作り上げていくまでには膨大な時間がかかった 俺は3年前から一方的にベスが好きだったのだが なんか途中から金髪ボブになりだして怖くて話しかけられないし多分俺は嫌われてるタイプの人種だろうなと思っておりこれまた挨拶すらできなかったのだが 気づいたら一緒に垣根にダイブする仲になっていた あの時2人して記憶にない怖すぎる松屋のレシートを見ながら記憶の脚色作業を試みていた頃に1mmでも大阪で一緒にライブをするなんて想像しただろうか…… そもそも俺は人生単位で 大阪 ひいては寺田町Fireloopには行ったことがないのだが 俺たちは鳥だ...鳥だ.......鳥だ......飛行機だ.....を8億回ぐらい観ているのでなんのこれしきといったところであろう

そんな素晴らしい日でも当然バンドメンバーは最悪であり 当たり前のように寝坊しましたとLINEが来ているし 飛行機出るまであと数分なのに全員我慢できず喫煙所に行き「残り4人を持って当便は出発いたします シガレイさん、スエナガジョウジさん...」とはっきり大音量で読み上げられていた 最悪である 俺が非喫煙者であったばかりに1人で待合室で荷物を見ていた所 迷惑集団の統括者だと思われて(というか実際にそうなのだが)「お連れ様はまだですか」「他のお客様もいらっしゃいますので」と結構ちゃんと怒られ俺はこんなに必死に生きているのに………と思ったが 先日横浜でライブをした時 スタジオまでの20分で我慢できず立ち飲み屋に入店し刺身を注文したら30分出てこず人間史上初のサシチコ(刺身遅刻のこと)をしているので何も言えなかった

無事(有事?)搭乗に成功し夜行バスよりは幾分かマシなシートに腰掛ける 初めて飛行機に乗ったので知らなかったのだが飛行機にはインターネットがないらしく 最初は離陸してミニマムになっていく東北を見て、ウォーなどと発言してはいたものの10分もすれば単なる大阪までのマップチェンジのロード画面でしかなくなり インターネットを奪われた俺とサポートベースのぼんこ(空港の中の蕎麦屋で"花"とだけ書いてある意味不明なメニューを頼んでいた、天かすのみが入っている蕎麦が出てきて怖かった)は 最終的に過度の疲労から気絶しているジョージの顔面を下から撮影して爆笑するという デジタル世代の一番最初の原始的な遊びみたいなもので誇張抜きで2時間位過ごし大阪に到着した そこからバスやらよく分からない電車等を乗り継ぎ予め取っていたレンタカーに乗り直接寺田町まで向かうことになった レンタカー屋さんでなぜかもらった温かいお茶が体温ほどにぬるくなる位に道に迷い環状線に翻弄されていたのだが レイが「この道...湾岸でやったことある!!!!!」と言い出して大阪行ったことないのに完璧なナビゲートで目的の分岐へたどり着いていて爆笑してしまった ちなみにレイは湾岸が強すぎて乱入対戦で地元にいた全国2位の奴をボコボコにした結果相手が警察を呼んだという意味不明なエピソードも持ち合わせている 湾岸に出ている日本の主要道路なら大体ナビゲートできる能力、バンド遠征においてあまりに強すぎるだろ

そんなこんなで適当な駐車場に車を止め住宅街の中を歩いてFireloopに向かった 途中で少し雪が振り始めて 意味不明なところに英語塾が建っていたり そもそも住宅街を歩いていたり 寺田町には仙台ライクな部分が多く既に肩肘張ることなく歩ける感覚を持ち始めていた Fireloopにいざ入ってみても仙台で死ぬほど見た人達がやっと来たかよとか言いながら出現してきてこれは何なんだよという感じになってきたが フロアに目をやるとニコ動で死ぬほど見ている風景に1人も顔見知りがいなくて それなりに気が入ってきた 楽屋に入るなり龍ヴォイ氏は明らかに1本目ではないビール瓶を片手にタバコを吸っておりこの世の全快楽を接種中の顔をしていて最高だった 元々我々を知っていてくれていたというFireloopスタッフの安井さんとも挨拶できた その安井さん曰く SUNTORYが1瓶買うと1瓶無料みたいな狂った販促か何かをしているらしくその恩恵で今日は瓶ビールが300円らしく 早くも終了の香りがしてきた 安いさんじゃん!とかいう"最高オモシロギャグ"を思いついたが二度と大阪に呼ばれなくなるのは勘弁なのでついぞ光を見ることはなかった

煙たい楽屋でも いつも通りのあの空気が流れていて 俺の名前は実はカメオカユウタだ という いつだかついた謎嘘がガチネタだと思われまあまあ大事になってたり(うっそ~んとか言えないくらいガチトーンでマジなの?なんで?と聞かれて怖くてネタバラシできなかった) ベスも俺らも遠征だというのにカスみたいな数の物販しか持ってきていなかったり かなりいつも通りでそれもまた素晴らしかった が、ライブ自体はいつも通りではない素晴らしさがあった

インディアカヌーの開さんの弾き語りからスタートしたのだが ファースト・インプレッションからは想像もしないような繊細な詞を歌う人で 凄く良かった ライブを見ながら瓶ビールをやっつけていたら無くなると同時に0秒で龍さんが勝手にビールを購入し渡してきてガールズバーみたいで面白かった 本当にごちそうさまでした

それによる酔いも相まってそう見えるのか そうじゃなくてもだろうが その次のベスが光みたいなライブをしていた リクさんがいなくなってしまってからのベスを初めて見たんだけど 虚空を見つめ暴力みたいなファズを踏むオクダさん それと対照的に現状や未来等に食らいつこうとするかのように瞳孔全開で喧嘩の様な熱量をオーディエンスにぶつけている奏仁さん 寝ているような顔で でも確かになにかを守るようにタイトに刻み続けているサポートのコブヤさん 当初の形とはだいぶ違うけど3年前に見たときと変わらないあのどうしようもない気持ちにさせてくる ベスの音楽には 人数や誰が参加するを問わず温度は違えど最終的にはどこか1つの光に収束していく様な何かが確かにあると思う レイが「俺にはリクさんの音が聴こえたんだよ!!!」と珍しくまあまあエモーショナルになっていた 「オクダさんがリクさんのフレーズ弾くとか、映画ソラニンじゃん笑」とか フェイクサブカルの一番最悪な部分を煮詰めたような会話をしていたが そういう悪口とかではなく実際にそれが適当な程に今日のライブはドラマだった もう俺はベスを贔屓目なしでは見れない程に関わりすぎてしまっているから麻痺していると思うけど 大阪のオーディエンスにも受け入れられていたのが 自分の感性すら肯定されているようで嬉しかったです

アンジーモーテルは ギャルをブチ挙げられるし 嫌じゃない範囲で隙間の部分を見つけてナードにすら寄り添ってくれる様な感覚だった 音源で聴いていたんだけどライブバンドだ……猫に転生してしまったリードギターのカズキさんが壁みたいなデカさのギターソロを弾いていて最高だった 俺は後ろ向きでどうしようもない曲ばかりを普段聴いているけどメロディの良さはジャンルを超えてナードどころかオジイやオバアにすらスッと入ってくるものなんだなと思った 最終的に打ち上げで我々ナードはエモだね~、オルタナだね~笑と完全にバカにされていたが…… というか打ち上げの記憶は本当に序盤の序盤しかない……

そして我々のライブだったのだが既に店中のビール瓶が無くなっているしリハの時点で怒号が飛ぶようなフロアになっていた 恙無く それでいて珍しい色の熱を持ちギグを終え帰ろうとしたらもう捌ける前から「早くやれ」「戻れ」「すぐやれ」と アンコールというか脅迫を受けてもう1曲やった 物販で我々を見るために10年振りに音楽ライブを見に来たという人がいたり 自分が狭い1Kでくだらない飯適当に食ってキッチンとかで気絶して作った曲が 行ったことない場所で誰かが安くないお金を払って見に来ているということが 単純に凄く嬉しかったです そしてそんな気分になるともう わかってはいたことなんだけどメチャクチャになってしまった 全記憶がないんだけどいつの間にか かなり距離があるホテルに戻っていて服着たまま1時間くらいシャワー出しっぱなしで気絶していた 俺は龍ヴォイ氏がいる日は大体メチャクチャになってしまい仲良くなった記憶が消えてしまうのでもう龍ヴォイ氏と4回くらい会っているのにいつまでも絶妙な距離感が継続している(オクダさんの時もそんな感じだったな)とにかく楽しかったです




3/3


前述の着衣風呂のせいで全身が湿り気を帯びた状態で仙台まで帰る必要があるのだが半日以上湯冷めしている感覚で本当に最悪だった 当然体調も悪くなっていった レンタカーで空港に戻るまでにくるりのハイウェイを聴いて全員が何も喋れなくなる時間があった レンタカー屋のおじいさんが俺等が車を返しただけなのにファンモンのジャケ写くらいずっと笑っててマジで最高だった 無事車を返し終わったので我々は関空に入っているココスに入店した 大阪にせっかく来たのに大阪での最初で最後の飲食店にココスを選ぶのも、また我々らしくてよかったと思う

実は俺とレイは元々かなり歴の長いココスバイターであり(クソ辞めた過ぎてレイに適当に甘い話して入れさせた挙げ句俺は即辞めた)その視点から見ると関空のココスはかなり特別である 関空のココスは一般的なココスとは違い関空限定メニューが存在しており食材からオペレーションまでおそらく関空独自のシステムになっている そのため、関空のココスは十分に 大阪でしか を満たすものになり得る(俺とレイしかテンション上がってなかった)

粛々と栄養を接種していたら 隣のおばさんが1人で空虚に対して大爆笑してて レンタカー屋のおじいさん然り大阪は幸せな街なんだなあと思った ただ 思えばココスで7連勤目に突入したクリスマス当日 朝から晩まで永遠にピザとチキンを詰めながら満席のフロアを2人で捌いていて ビール提供10分待たせたジジイにブチギレられている時に自分より恐らく何個も下のカップルが手をつなぎながらポテト食べてるのを見て 何かの自分の中にある紐みたいなものが切れて屈託のない笑顔で接客をするヤバいフェーズに入ってしまったことがあったし やっぱり隣のおばさんもレンタカー屋のおじいさんもファンモンも俺ももうとうに壊れているだけなのかもしれないなとも思った(てか1人の人間が気狂うほど一定数ココスでピザお持ち帰りする奇特な層がいるのにピザーラとかどんだけ忙しいんだろう)

ジョージの注文がバカすぎてワンピースの「宴だーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」の省エネバージョンみたいになってて面白かった